冬の伽藍 (講談社文庫)

冬の伽藍 (講談社文庫)

パブリッシャー
講談社
価格: ¥880

冬の伽藍 (講談社文庫)のレビュー

せつなく そして逢いたくなる好きな人に
 雪が降り積もり静かな、そして真っ白な町。そんな風景の中での、大人の苦しくもせつない物語でした。
いろんな事で苦しみながらも、それでもやっぱり心はつながっていたからこその、素敵なラストシーン。

ただただせつなくて 涙が止まらず 子供のように泣きじゃくってしまいました。
あまりに切な過ぎるストーリーではありますが、登場人物の誰が悪いのでもなく、ただほんの少し神様が意地悪したのかなと。

それでも本当に ここまで愛する人に出会えて、そしてこんなにも深く誰かを愛せたのだから 二人は幸せだったんだとラストシーンを読みながら
悲しい中にも、心が熱く温かくなりました。読み終えて 大好きな人に逢いたくなりました。
私の中では 小池作品NO.1です! 間違いなくお薦めです! 
美しい織物のような小説
 ありきたりな比喩かもしれませんが、本作は、「男」という縦糸と「女」という横糸を丁寧に編み上げた美しい織物のようです。縦糸と横糸はあたかも互いに無関係に色づけされているのに、それらが織り合わされたとき、息をのむような深く美しい紋様が浮かび上がってくるような、そんなイメージです。
 しかし、美しさは残酷さの裏返し。男(義彦と英二郎)と女(悠子と美冬)は、惹かれ合いながらも、縦糸と横糸のように、決して長く寄り添うことはない運命にあり、一瞬の交わりにすべてをかける。そんな儚さが胸を締め付けます。
 二人は、最後の最後に(ある意味では)救われました。でも、私にはハッピーエンドには思えませんでした。苦しみの意味はたぶん男と女ではまったく違うし、「救い」の意味も同じでないという哀しい現実に気付かされます。美しく感動的であるだけに、このどうしようもない深い溝に、いっそうやりきれなさが募りました。
やはり人が死ぬ、だが絶妙
冬の伽藍 小池真理子 講談社文庫 2002

講談社 1999単行本 
3章からなる恋愛小説。夫を事故で失った薬剤師、妻を自殺で失った医師、その二人を取り巻く日常と非日常的出来事。いつもの様に事件、事故的な死があり、そこに人々の関係性が描かれているけれども、その展開が絶妙。1章を読み終えた時にはそれほどに物語の中に飲み込まれる事はなかったのだが、2章から3章そしてエンディングに向かう言葉の流れには知らない内に完全にその物語の中に入り込んでしまい、本を閉じる事が出来なくなった。
そんなオヤジをも泣かせる一冊だった。
静謐だが激しい愛
めまぐるしい現代の中にあっても、そこにはゆるやかで静かな時が流れていた。
軽井沢の雪解け、柔らかな暖かさを与える冬の太陽。
自然と人間とを添わせるように描いているさまが心地よい。
若いのに生きながら死んでいるような義彦と、年は取っても生への欲望漲る義父・英二郎との対比。二人に翻弄される悠子。
義彦が生きる意味を見つけつつあった時、義父の死が悠子と義彦を分かつ。互いを思うが故に貫き通す哀しく切ない愛。
ラストは読者すべてが悠子に感情移入したであろう。
思わずもらい泣き〜
小池真理子を読むのはこれで3作品目くらいですが、
過去の痛手を抱えながら、医師”義彦”を愛する半面、同じく医師の義父にどうしようなく惹かれる主人公の気持ちに深く入り込んで共感できた。
(義父がなかなか魅力的に感じました。)

ストーリーはどんどん切ない展開になっていきますが、
絶望的な中でも再会し、抱擁し合う彼らの姿が目に浮かぶような。。
そんな、もらい泣き作品でした。